朝立ちしない50代は危険信号?テストステロン回復の全対策
朝、目が覚めたときに「あれ、最近まったく朝立ちしていないな」──そう気づいた瞬間、あなたの胸にはどんな感情がよぎっただろうか。
50代で朝立ちが消えるのは、ただの老化ではない。体の奥で、テストステロンという男性ホルモンが静かに減り続けている合図かもしれない。そしてそれは、性欲の低下だけでなく、うつ症状、筋力低下、さらには動脈硬化や糖尿病といった深刻な病気のリスクとも直結している。
結論から伝えると、朝立ちの消失は50代男性にとって見逃してはいけない「体からの危険信号」だ。ただし、正しく対処すればテストステロンを回復させ、性欲や活力を取り戻すことは十分に可能である。
この記事では、朝立ちが消える仕組みからテストステロン低下のセルフチェック法、食事・運動・サプリ・医療まで、50代男性が今日から実行できる全対策を一つ残らず解説する。筆者自身がテストステロン低下を経験し、回復までの道を歩んだ体験もお伝えする。10分ほどの読了で、あなたの「次の一手」がきっと見えるはずだ。
50代で朝立ちしなくなるのは「老化」ではなく「テストステロン低下」のサイン
そもそも朝立ちはなぜ起きるのか──睡眠サイクルと勃起のメカニズム
「朝立ち=性的な夢を見ているから」と誤解している人は少なくない。実際はまったく違うメカニズムで起きている。
人間の睡眠は、脳が休むノンレム睡眠と、脳が活動するレム睡眠が約90分サイクルで交互に繰り返されている。このレム睡眠のあいだ、副交感神経が優位になり、ペニスの海綿体に血液が流れ込んで勃起が起きる。これが「夜間勃起現象(NPT=Nocturnal Penile Tumescence)」だ。健康な成人男性であれば、一晩に3〜5回、合計で約1.5〜2.5時間にわたり勃起を繰り返している。
朝立ちとは、最後のレム睡眠のタイミングで目覚めたときに勃起状態を自覚する現象にすぎない。つまり「朝立ちがある」ということは、血管・神経・ホルモンが正常に働いている証拠であり、いわば男性の体の「定期点検」の結果が合格だったことを意味する。
テストステロンが減ると朝立ちが消える──50代の体内で起きていること
では、なぜ50代になると朝立ちが消えるのか。その鍵を握るのがテストステロン(男性ホルモンの代表格)だ。
テストステロンの分泌量は20〜30代をピークに、その後は年間約1〜2%ずつ低下していく。50代に入ると、ピーク時の60〜70%程度まで落ちている人も珍しくない。テストステロンが低下すると、まず睡眠の質が落ちる。深いレム睡眠に入りにくくなり、夜中に何度も目が覚める。レム睡眠の持続が途切れれば、当然ながら夜間勃起現象も起こりにくくなる。朝まで勃起が続かないから、目覚めても朝立ちを自覚できない──これが基本的なメカニズムだ。
ここで一つ、水道管に例えて考えてほしい。テストステロンは水圧のようなものだ。水圧が十分なら蛇口をひねれば勢いよく水が出る。しかし水圧が下がると、蛇口をひねっても水はチョロチョロとしか出ない。50代で朝立ちが消えるのは、テストステロンという「水圧」が下がり、勃起という「水流」を維持できなくなった状態と言える。
「ただの老化」で片づけると見落とす危険な病気のサイン
ここで強調しておきたいのは、朝立ちの消失が単なる「年のせい」ではないケースがあるということだ。
朝立ちが起きるためには、ペニスの血管が正常に拡張し、十分な血液が流入する必要がある。動脈硬化が進行していると、この血流が阻害される。ペニスの動脈は直径1〜2mm程度と非常に細いため、心臓の冠動脈(3〜4mm)よりも先に影響が出やすい。実際、EDの症状が現れてから3〜5年後に心筋梗塞や脳梗塞を発症するケースが報告されており、朝立ちの消失は「血管の老化」を知らせる初期警報になりうる。
1994年に行われた年代別調査によると、50代前半で朝立ちに「全く気づかない・あまり気づかない」と回答した男性は25.7%。つまり4人に1人は50代前半で朝立ちの減少を実感している(出典:老年医学会雑誌「中高年男性における医学的問題点」)。あなたが同じ状況にいるなら、それは珍しいことではない。しかし「よくあること」だからこそ、放置してしまう人も多いのが問題なのだ。
あなたは大丈夫?テストステロン低下のセルフチェック
LOH症候群(男性更年期障害)の代表的な症状リスト
テストステロンの低下が一定以上進むと、LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism=加齢男性性腺機能低下症)と呼ばれる状態になる。いわゆる「男性更年期障害」だ。女性の更年期は広く知られているが、男性にも更年期があるという事実は、まだ十分に認知されていない。
以下のリストで3つ以上当てはまる場合は、テストステロンの低下が進んでいる可能性がある。
朝立ちがほとんどなくなった 性欲が以前より明らかに落ちた 疲れがなかなか抜けない やる気が出ず、何ごとにも億劫に感じる イライラしやすくなった、または気分が沈む 筋肉が落ちて、お腹まわりに脂肪がついた 夜中に何度も目が覚める 発汗やほてりがある 集中力・記憶力が落ちた気がする 関節や筋肉に痛みを感じる
「これ、全部当てはまる……」と感じた方、慌てなくて大丈夫だ。LOH症候群は適切な対処で改善できるケースが多い。大切なのは、まず自分の状態を正しく認識することだ。
遊離テストステロンの基準値と年代別の目安
テストステロンには「総テストステロン」と「遊離テストステロン(フリーテストステロン)」の2種類がある。体内のテストステロンの約98%はタンパク質と結合した状態で存在し、実際に組織に作用できるのは結合していない2%ほどの「遊離テストステロン」だ。日本では、この遊離テストステロン値で診断するのが主流になっている。
| 年代 | 上限値 | 下限値 | 治療検討の目安 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 27.9pg/mL | 8.5pg/mL | 8.5pg/mL未満 |
| 30代 | 23.1pg/mL | 7.6pg/mL | 8.5pg/mL未満 |
| 40代 | 21.6pg/mL | 7.7pg/mL | 8.5pg/mL未満 |
| 50代 | 18.4pg/mL | 6.9pg/mL | 7.5pg/mL未満 |
| 60代 | 16.7pg/mL | 5.4pg/mL | 7.5pg/mL未満 |
| 70代 | 13.8pg/mL | 4.5pg/mL | 7.5pg/mL未満 |
(出典:岩本晃明ほか 日本泌尿器科学会雑誌 95:751, 2004 / LOH症候群診療の手引き 2022年改訂版)
2022年の改訂で、LOH症候群の治療介入基準はフリーテストステロン7.5pg/mL未満、総テストステロン250ng/dL以下と定められた。7.5〜11.8pg/mLはボーダーラインとされ、症状の程度によって治療を検討する段階と位置づけられている。
自宅でできるスタンプテストのやり方
「そもそも本当に夜間勃起が起きていないのか、それとも気づいていないだけなのか」を確認する簡易的な方法がある。それがスタンプテストだ。
50代から始めるテストステロン回復──食事と栄養の見直し
亜鉛・ビタミンD・良質な脂質──テストステロンを支える3大栄養素
テストステロンの原料は、意外にも「コレステロール」だ。体内でコレステロールから合成されるため、極端な脂質制限はかえってテストステロンの減少を招く。50代で「健康のために脂質をカットしている」という人が、実は自ら男性ホルモンの原料を絶っていた……というケースは、筆者も含めてよくある話だ。
テストステロン合成を支える3大栄養素を押さえておこう。
避けるべき食習慣──テストステロンを下げる意外な落とし穴
「何を食べるか」と同じくらい重要なのが「何を避けるか」だ。
大量の飲酒はテストステロンの産生を阻害する。アルコールは精巣でのテストステロン合成を直接的に抑制し、さらに肝臓での代謝を亢進させてテストステロンの分解を早めてしまう。厚生労働省は「節度ある適度な飲酒量」として純アルコール20g(ビールロング缶1本程度)を目安としている(出典:厚生労働省「アルコール」)。
もう一つ見落としがちなのが、砂糖の過剰摂取だ。砂糖を大量に含む食品や飲料は血糖値を急上昇させ、それに伴うインスリンの急激な分泌がテストステロンを一時的に低下させるとする研究もある。コンビニの菓子パンや甘いコーヒー飲料を毎日の習慣にしている50代男性は、少し注意してほしい。
運動と睡眠でホルモンバランスを立て直す
筋トレこそ最強のテストステロンブースター──50代向けメニュー
テストステロンを自力で増やすために最も効果的な方法は何か。答えは筋トレだ。
とりわけ、大きな筋肉群を使うコンパウンド種目(多関節運動)がテストステロンの分泌を促進するとされている。50代で筋トレ経験が少ない方が、いきなりジムで高重量のバーベルを担ぐ必要はない。自宅で始められるメニューから入るのが現実的だ。
筆者の経験では、週3回のスクワットを始めて2週間ほどで「朝起きたときの体の軽さ」に違いを感じた。朝立ちが復活するまでには1ヶ月半ほどかかったが、それ以上に日中の活力やメンタルの安定を先に実感した。テストステロンの効果は性機能だけに留まらないのだ。
有酸素運動と内臓脂肪の関係
内臓脂肪はテストステロンの天敵だ。脂肪細胞にはアロマターゼという酵素が存在し、テストステロンを女性ホルモン(エストラジオール)に変換してしまう。つまり、お腹の脂肪が増えれば増えるほど、せっかく作られたテストステロンが女性ホルモンに変わってしまうという皮肉な構造になっている。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、直接的にテストステロンを増やすわけではないが、内臓脂肪の減少→アロマターゼ活性の低下→テストステロンの温存、という間接的なルートで貢献する。目安は週に150分以上の中強度有酸素運動(少し息が上がる程度の早歩きでも十分)だ。
睡眠の質がテストステロンを左右する──5時間睡眠で15%低下の衝撃
シカゴ大学の研究チームが発表したデータは衝撃的だった。健康な若い男性に5時間睡眠を1週間続けさせたところ、テストステロン値が10〜15%も低下したのだ(出典:University of Chicago Medicine)。
この15%という数字は、通常の加齢であれば10〜15年分の低下量に相当する。つまり、睡眠不足だけで50代の体が一気に65歳相当のホルモン状態になりうるということだ。
テストステロンは深い睡眠中に多く分泌される。質の高い睡眠を確保するために、以下を意識してほしい。
就寝の2時間前にはスマホ・PCのブルーライトを遠ざける 寝室の温度を18〜22℃に保つ カフェインは14時以降に摂らない 就寝前のアルコールは睡眠の質を下げるため控える 毎日同じ時刻に起床し、体内時計をリセットする
サプリメント・セルフケアアイテムを賢く活用する
精力系サプリを選ぶときの3つの基準
食事と運動の改善に取り組んでも、変化を実感するまでには数週間から数ヶ月かかることがある。「すぐに何か手を打ちたい」と焦る気持ちはよくわかる。そこで選択肢に入るのがサプリメントやセルフケアアイテムだ。
ただし、この領域は玉石混交。根拠が乏しい商品や、誇大広告で売りつけてくるものも多い。選ぶ際は次の3つを意識してほしい。
- 配合成分に科学的根拠があるか(亜鉛、マカ、アルギニン、トンカットアリなど、論文で効果が検証されている成分が含まれているか)
- 安全性の担保があるか(GMP認定工場で製造されているか、国内製造か、成分表示が明確か)
- 過剰な効果謳いをしていないか(「飲むだけでギンギンに」「100%効果を保証」のような表現がある商品は避けるべき)
個人差があるため「このサプリを飲めば確実に回復する」とは言えない。しかし、食事で不足しがちな栄養素を補う目的で、適切に選べばプラスに働く可能性はある。
パートナーとの関係を取り戻すためのアプローチ
50代で性欲が低下すると、パートナーとの関係にも影を落とすことがある。夜の営みが減り、スキンシップそのものが億劫になり、やがてお互いに触れ合うこと自体がなくなっていく。これは決して珍しい話ではない。
テストステロンの回復に取り組むのと同時に、パートナーとの関係性を物理的に近づけるきっかけを作ることも、性欲回復の後押しになる。ムードを作るアイテムやケア用品を取り入れるのは、その一つの方法だ。
それでも改善しない場合は──泌尿器科・男性更年期外来という選択肢
テストステロン補充療法(TRT)の実際──効果・費用・副作用
食事・運動・睡眠を3ヶ月改善してもはっきりとした変化を感じられない場合は、医療機関を受診するタイミングだ。
LOH症候群と診断された場合、治療の中心となるのがテストステロン補充療法(TRT=Testosterone Replacement Therapy)だ。日本で保険適用されているのは、エナルモンデポー(エナント酸テストステロン)の筋肉注射で、2〜4週間おきに通院して接種する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療方法 | エナント酸テストステロンの筋肉注射(2〜4週間に1回) |
| 保険適用 | 40歳以上でLOH症候群と診断された場合に適用 |
| 費用目安(3割負担) | 1回あたり1,000円以下(注射代)+診察料 |
| 効果が出るまで | 数週間〜3ヶ月程度(個人差あり) |
| 主な副作用 | 多血症(赤血球増加)、にきび、肝機能への影響など |
| 禁忌 | 前立腺がんの既往・疑いがある場合は使用不可 |
(出典:日本泌尿器科学会 LOH症候群診療の手引き 2022年改訂版、日本内分泌学会)
ED治療薬という即効性のある手段
テストステロン低下の根本的な解決とは別に、「とにかく今夜の性行為を成功させたい」という切実なニーズには、ED治療薬が有効だ。
代表的なED治療薬はバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)の3種類。いずれもPDE5阻害剤と呼ばれ、陰茎の血管を拡張して血流を増やすことで勃起を補助する。
ED治療薬は対症療法であり、テストステロンを増やすものではない点は理解しておくべきだ。しかし、「一度でもパートナーとの性行為が成功した」という成功体験が心理的な壁を壊し、その後の回復に良い影響を与えることも少なくない。
何科に行けばいい?受診時に伝えるべきポイント
「恥ずかしくて病院に行けない」──50代男性がこの問題を放置する最大の理由がこれだ。しかし、泌尿器科の医師にとって、朝立ちの消失やEDの相談は日常業務のど真ん中。毎日のように同じ悩みを持つ患者を診ている。
受診先は泌尿器科、または「男性更年期外来」「メンズヘルス外来」を掲げているクリニックを選ぶとよい。初診時に伝えるべきポイントは以下の3つだ。
朝立ちの頻度がいつ頃から・どの程度減ったか 性欲や勃起力の変化、パートナーとの関係への影響 それ以外の体調変化(疲労感、気分の落ち込み、睡眠障害など)
最近はオンライン診療に対応しているクリニックも増えており、自宅から受診して薬を郵送してもらうことも可能になっている。「対面が恥ずかしい」という方にとっては、大きなハードルが一つ消えるだろう。
【体験談】50代でテストステロン低下を実感し、回復するまで
50歳を過ぎた頃、朝の目覚めに違和感を覚え始めた。以前は当たり前にあった朝立ちが、いつの間にかなくなっていた。「まあ、年だしな」と思って最初は気にしなかった。だが、それだけではなかった。仕事への集中力が明らかに落ちた。週末に趣味のゴルフに行く気力も薄れた。妻との会話も減り、夜の営みに至っては1年以上ご無沙汰になっていた。
転機は会社の健康診断だった。血液検査の結果を見た産業医に「テストステロン値が低めですね。泌尿器科で一度調べてもらっては?」と言われたのだ。
正直、泌尿器科に行くのは相当抵抗があった。しかし意を決して受診し、遊離テストステロンを測ってもらうと、8.2pg/mL。50代の下限基準(6.9pg/mL)はかろうじて超えていたが、ボーダーラインの11.8pg/mLには大きく届いていなかった。
医師からは「すぐにホルモン補充が必要な段階ではないが、生活習慣の改善を強く勧める」と言われた。そこから始めたことは、ここまで記事で紹介してきた内容とほぼ同じだ。
まず食事を変えた。毎朝のコンビニパンを卵かけご飯と納豆に切り替え、週に2回は牡蠣や牛肉を意識して摂った。ビタミンDのために昼休みに15分だけ外を歩く習慣もつけた。
次に筋トレ。ジム通いは続かないと思い、自宅でスクワットと腕立て伏せだけを週3回。最初は10回のスクワットで太ももがパンパンになった。情けなかったが、3週間を過ぎたあたりから体が軽くなり始めた。
変化を感じたのは2ヶ月目だった。朝起きたときに、久しぶりに朝立ちしている自分に気づいた。劇的な復活ではなく、「あれ、今日は立ってるな」という静かな実感。それが週に1回、2回と増えていった。同時に、妻との距離も少しずつ縮まった。サプリも試したが、正直に言って食事と運動ほどの劇的な変化は感じなかった。ただ、亜鉛のサプリだけは続けている。
これはあくまで筆者個人の経験であり、すべての人に同じ結果が出るとは限らない。ただ、50代で「何もしなければ下がるだけ」のテストステロンを、生活習慣の改善で「これ以上下げない」「少しでも持ち上げる」ことは、十分に可能だと実感している。
ここまで読んで、食事・運動・睡眠の改善に加えて、パートナーとの関係を物理的にサポートしてくれるアイテムに興味を持った方もいるかもしれない。
50代の性欲回復は「自分自身のケア」と「パートナーとの関係のケア」の両輪で進めるのが効果的だ。自分だけが頑張るのではなく、二人の時間そのものを楽しむことが、テストステロンの回復にもプラスに働く。
\ 50代からの夜の自信を取り戻したい方へ /


よくある質問
まとめ──50代の「朝立ちしなくなった」は放置しないでほしい
「もう年だから仕方ない」──50代男性がそう自分に言い聞かせるとき、実はそれが一番もったいない選択だ。テストステロンの低下は老化の宿命ではなく、対策によって改善できる身体の状態にすぎない。
まずは今日、一つだけでいい。スクワットを10回やる。牡蠣を買って帰る。スマホを閉じて30分早く寝る。その小さな一歩が、3ヶ月後のあなたの朝を変えるかもしれない。
もし、一人での改善に限界を感じたなら、パートナーとの関係をもう一度近づけるためのサポートアイテムを試してみるのも選択肢の一つだ。
\ まずは小さな一歩から。二人の時間を取り戻すきっかけに /






